2013年4月29日月曜日

安さには「質」がある。



バイオマスの仕事をしていると最近一番おおい質問は発電価格にかかわる質問です。同時に「採算性」という言葉もよく聞かれます。特にバイオガス発電の採算性ってなんだ?バイオガスエネルギーのためのエネルギー作物を栽培していない限り、多くは家畜糞尿や水産廃棄物、加工残渣、生ゴミなどが原料です。

もともと、お金をつかって処理しているものからバイオマスエネルギーを取り出すのだから社会全体のコストは低下する。でも、それを認知できる方はエネルギー問題と廃棄物処理という両面から課題を認知してしなくてはなりません。畜産糞尿であれば、さらに畜産の課題(におい、労働時間、後継者、肥料化、畑作との連携など)への認知も必要です。


採算性はこのような課題を連携してみることができると、べらぼうに安いエネルギーに見えるはずです。しかし、バイオガスの単なるメタンガスのカロリーとして考えると手間もかかるし、安いモノには見えません。

安さを追求して、おばあちゃんの雑貨屋・本屋がコンビニになり、おじいちゃんが車番をしていた駐車場などがなくなりオートの駐車場になってます。
地域のちょっとした目先の便利と安さを追求して仕事がなくなり、雇用対策とかコミュニティビジネスとか言い出しています。

このように課題横断的にみると価格の「高さ」「安さ」は判断する人の認識できる範囲と知識によって決まってくるように思えます。
バイオガスが農村を維持するために「臭気改善」「労力低減」「担い手確保」「肥料製造」「農地負荷軽減」「河川環境改善」などの効果をもつことがわかると、最後のメタンガスのエネルギーが海を越えて中東からきたエネルギーと比較することに抵抗があります。酪農家が草をそだてて、刈り取って牛を飼い、糞尿を処理する牛乳より輸入したミネラルウォーターのほうが高い現実では、「価格の良否」は難しい。
採算性について話をするのが難しいなぁとおもう理由です。

原子力が経済的に有利であるといわれるのも、今回の福島の事件のように将来にわたる環境や管理する「リスク」などの連鎖する事柄をコストに入れていないような気がする。安さにも「質」があり、社会的な視野を入れた総合的な「安さ」を気にする必要があるとおもいます。

安いのはいいけど、安くした分だけ効率をあげる、広い面積を少ないヒトで管理する、より多い品物をよりすくない人数で生産することが必要となります。
それができなければ海外でってことで、国内から低付加価値なものづくりが減っていきました。みんながハイテクやITやハイブリッド自動車を作っているのではないので、普通の仕事がなくなるのが当たりまえです。

そこにTPPで食品と農畜産物も海外からとうことになると、仕事つくりはなかなか難しくなり、そのために雇用の補助金ということになる。仕事がないと、すむところも食べるものもないので「犯罪」が多くなり、さらに社会的コストが増えます。


スローライフ、再生可能エネルギー、地産地消、あたりの考え方は、この辺のことを顧みようという動きだとおもいます。

そのため、私たちは農村で生きる方法を考え、バイオガス利用(糞尿処理)、有機農業推進(窒素循環)、デザイン(農産物ブランド化)、ソーシャルファーム(社会的弱者の雇用確保と製品普及)、ロングトレイル(食と景観と農業の滞在ビジネス)という地域からの目線でプロジェクトを行っています。
地域では相互に連携している課題なのですが、政策には担当部署があるので切
り分けて観光・福祉・農業・エネルギーと表現されます。

コストが複合的な社会的な課題で構成されるとした場合、なにを「安さ」の基準にしましょうか?









2013年4月25日木曜日

キルギス共和国にバイオマス指導

北海道バイオマスリサーチがJICAの事業「草の根パートナー型事業」に採択されました。以前、2007年12月17日~2011年5月31日までの約三年間行なわれたキルギス共和国バイオガス技術普及支援計画でも弊社は協力させてもらっていました。
当時弊社取締役の岡本先生がコースリーダで始まり、2代目リーダも弊社西崎取締役が努めていました。
今回は北海道バイオマスリサーチとしての応募・採択なので感慨もひとしおです。最近はアジアからのアプローチも多く「バイオマスリサーチアジア」設立!?という動きが期待されてもいるのですが、まずはこの案件をがんばります。