2014年9月6日土曜日

バイオマス活用で地域再生

太陽光発電や風力発電は「装置型再生可能エネルギー」であり、補助金をうけて装置を導入・建設したあとは地域の活力増強となる事業は最小限のメンテナンス事業が残るだけである。 私たちが1997年にバイオマスに着目し、鹿追町、士幌町など自治体と酪農機械、建設会社、農機具会社、設備会社と連携し、産業クラスターとして「十勝型バイオガスプラント研究会」を設立した。

 家畜糞尿は「再生可能エネルギー発電」「有機肥料(化学肥料低減)」「農産物価値向上」「再生可能エネルギーで加工」「付加価値販売」「ニート、母子家庭、出所者など社会的弱者雇用」「消費者との販売・余暇交流」など農村の得意とする分野の花を咲かすことができる地方に残された「最後の資源」である。

 そのためには、多少面倒ではあるが前述したような、地方の事業者が組み合って持続可能な事業として取り組むことが必要である。それらを支える仕組みには電力価格(政策)、有機肥料散布事業(コントラクター)、有機農産物(畑作事業者)、特産品加工(弱者施設など)裾野を広げることが必要となる。

 バイオマスエネルギーがブームになりつつあり、新電力会社がバイオマスエネルギー源としてバイオガスプラントの電力買い取り、バイオガスプラント建設への出資を申し出る状況になっている。海外からのバイオマスを輸入して発電する事業や、畜産糞尿のメタン発酵発電能力だけに着目した事業形態も見受けられるようになってきた。

 バイオマス「利用技術」と利用の「仕組み」、「目指す地域の姿」の研究と情報開示、検討が十分に行われることが重要だ。ともすれば「バイオマス利用」は「電力販売による利益獲得」の一側面からのみ取り組まれることになる。売電価格の下落により一喜一憂せずに、地域が責任をもって持続的な利用を続けたい。

 食料自給率40%の日本にあって、北海道には200%の生産物があり、加工品とその残渣がある。山にも海にもバイオマスは存在する。人が生活し、野山があり、動物を飼養飼養し続ける限り資源は枯渇しない。自らの地域がどのような未来を持つことができるのか「ほれぼれとする地域の未来」を描き出し、それを共有することから始めなければならない。

 バイオマス利用による収入の道は多様であるが、少しずつである。電気、肥料など価値の高いものとして売る工夫、科学的研究、ビジネスモデル研究をすすめ、バイオマスの換金能力を高めなくてはならない。

 北海道バイオマスリサーチとnpoあうるずでは、消化液の無臭化と施用試験(海外でも実施)、ソーシャルファームジャパン事務局とジャルダン・ド・コカーニュとの社会的弱者雇用シンポジウム、「十勝ロングトレイル」3泊4日で地域の食材をたべながら100km歩く農村の地産地消の旅、農産物の価値を高めるブランド化事業などを展開し、それぞれを有機的にむすぶ地域にあわせた「ほれぼれとしたビジョン」を作り出すために活動している。