2015年7月1日水曜日

バイオガスで社会連帯経済

ソーシャルファームジャパンサミットinびわ湖を無事に終えることができました。滋賀県のガンバカンパニーの中崎さんのネットワークで昨年の250名を超える330名の来場者があり、また翌日の栗東市の「おもや」への視察も丁寧で暖かいスタッフの皆さんのお迎えで気持ちよく視察できました。また、「おもや」の自然栽培のランチも美味しかった。

今回のサミットでは飛び入りの大物がいました。
私と一緒に写っているソテールさんはフランス1990年代にフランスの大臣を歴任し、ダイアモンド社でも「元フランス経済・財政・産業大臣クリスチャン・ソテール氏に聞く」という記事が掲載されています。

ジャルダン・ド・コカーニュのヘンケル氏の出身地のプザンソン地域は「貧困と社会」をテーマに考える人達を輩出しています。当時は空想的社会主義とよばれたフーリエやマルクスに批判されたプルードンもプザンソン出身です。

耕作放棄地(農業)と失業者の救済(福祉)という異なる課題を「有機農業」を消費者に直接売ることで解決しようとしたヘンケル氏の考えはこのような背景が影響しているかもしれません。

耕作放棄地5haで5000万の有機農産物の売り上げを300世帯が支えているジャルダン・ド・コカーニュの仕組みは、すでにフランス全土で135カ所にも波及しています。雇用されにくい人達に訓練や就職指導、ハローワークのような仕事紹介もしているために行政からも多くの支援が入っています。そのおかげで、社会的弱者を支援する次世代を担う若いスタッフが参画しています。それも一流大学出身の高学歴な人々が参加しています。

日本とくに地方ではこのような取り組みはボランティア・慈善事業としてとらえられることが多いのですが、ボランティアでは生計が立たないため持続させることが出来ません。
これからは、社会の弱いところとつよいところが組み合って、相互補完するような仕組みが望まれています。

それが、ソテールさんのいう「社会連帯経済」です。私は学部は立命館大学の産業社会学部だったために多少の聞き覚えがある・・という程度でした。今回ソテールさんのお話しを聞かせてもらいました。ラッキーなことにシンポジウムの前夜は飲み会にまでつきあってもらいました。

私が考えていたバイオガスから始まる地方活性化は「社会連帯経済」なのだと気がつきました。下記にそのイラストを掲載しておきます。

田舎の酪農業にとって畜産糞尿処理は高齢化が進む酪農家にとっては頭の痛い問題です。
多くの時間がかかり、重労働でコストがかさむという三重苦の作業です。製品としての牛乳は1L200円以下で、ペットボトルのミネラルウォーター(500ml120円)より安いのが現状です。そのうえ、原料の牛乳を出荷した後に残る糞尿は河川汚染や臭気などの大気汚染の元凶として嫌われます。適正な処理コストも出ないでしょう。

糞尿からバイオガスを取り出して電力や熱エネルギーとして販売することは、一般市民がいつも必要としているモノに変換することにより、間接的に酪農家を支援することになります。発送電分離が成立するとこの構図は一層加速します。

一方、バイオガスからは有機肥料もできます。北海道の鹿追町ではこの肥料を「道の駅」で販売しています。販売員の方にお聴きすると売れてますとの答えでした。
この消化液で生産された「有機農産物」を購入すると、小規模で有機農業を始めた畑作農家や高齢化した酪農家を支援することになります。

また、このような活動が地域の付加価値を高めて全国に仲間を作り出すことになります。
私はこれが「地方創生」だと思っています。地方創生の戦略という「書類づくり」にきゅうきゅうとなり、裏付けとなる地域での活動がおろそかだと、おそらく地方創生にならないでしょう。

社会連帯経済はフランスをはじめとして世界で取り組まれています。フェアトレードやNPO、有機農業、貧困対策などがキーワードとしてあげられます。昨年末に地方創生のために私が書いた(書いてもらった)イラストは「社会連帯経済」だったようです。

今回のソーシャルファームサミットではそのような仲間が沢山来てくれてました。しかもみんな若い。日本の将来は明るいぞ!と感じられる集まりでした。
今年が素晴らしいので、来年の人にプレッシャがかからないように少し「仕様」を整理して次の開催地を考えようと思います。